So-net無料ブログ作成
検索選択

「千年の恋 ひかる源氏物語」ダメコン総プリート映画の金字塔 [映画レビュー※ネタバレ注意]

○○映画会社○○周年記念映画とつくものにろくなものはない。

悲劇の歴史というのは繰り返されるもので、例えば東宝50周年記念映画といえば「幻の湖」だし、松竹100周年記念映画は「REX 恐竜物語」(安達祐実が大きい字で「具」と習字するラストが印象的)、角川映画30周年記念作品といえば「犬神家の一族」(リメイク)であるので、こういう系譜というのは「人間というのは学習しない生物である」というフロイト先生の遺訓を人類に啓蒙するための政府主導による一大プロジェクトなのかもしれない。(もしくは集合的無意識の存在をサイレントマジョリティに訴えかけるためのユングによる壮大な暗号計画なのかも)そんな与太話はアレですけれども、とにかくこの「千年の恋 ひかる源氏物語」はそんな狂った妄想をしてコペルニクス的転換を図らないことには、どうしてこの作品が日本国内はもとよりワールドプレミアなどとアメリカ様のお膝元で恥さらしをしなければならなかったのかが理解できない。絶対にこのプロジェクトは地球国家規模なんですよ。誰もが指摘しないなら私が指摘します(陰謀はセオリー)。世界規模のインモーボーボー論を展開することに必死過ぎてなんの話をしていたのか忘れましたが、そうそう「千年の恋 ひかる源氏物語」のことだった。。

ともかくこの「千年の恋 ひかる源氏物語」は、現在の日本が抱えるダメ映画の要素を全て備えた「ダメ総コンプリート映画」と自信を持って断言できる稀有なシロモノである。これに比べたらデビルマンはまだいいのかもしれない。主演がド素人だからと言い訳が効くし。北京原人だって、丹波が出たり、テンコーとか笑いどころもわかりやすく、なによりテンポがいいから目が離せない。いろんな意味で映画関係者、もしくは映画を作りたい撮りたいと思う人には必須かもしれない。大人の事情に陥るとこういうのを撮らされる羽目になるかもしれない、それでもあなたは映画を目指しますか?いい脅しにはなるだろうな。実録仁義なき映画界源氏編と名前変えるべきかも。閑話休題。

話の内容としては、紫式部の現在と彼女が語る「源氏物語」の世界が交互に行き交うわかりづら…いや、時間軸の交差する複雑な展開である。紫式部(吉永小百合)はぶんしょうをかくのがだいすきなおんなのこ。オヤジの転任で福井の片田舎に連れてこられ(どうでもいいがこのとき弟役の段田安則がどうみても息子にしか見えない)、妾として子供を産んだら海岸で海賊に娘を拉致されかけ(ジョニー・デップは助けてくれない)、その際夫(ケンワタナービがケツむき出しで熱演)を殺され、失意の中で途方に暮れて(いるようには見えないが脳内補完)いると、藤原道長(ケンワタナービ二役)に娘の彰子の教育係りに、と召抱えられ宮廷へ旅立ち、定子を養育する清少納言(森光子…)には負けんかいねと源氏物語を使って彰子を性教育という名の洗脳をし、意気揚々と地元に引き上げ、漁師と共に地引網をわっせわっせと(十二単を着たまま)ひいて終わる。多分これだけ書いても何のことやらさっぱり分からないと思うが、映画を全部見てもこれ以上の情報は得られないとここで断言する。いやマジで。

だいたいこの映画はどういうベクトルのどのような層をターゲットにしているのか、皆目わからない。森光子、吉永小百合、竹下景子とくればある程度年を重ねて詫びさびもののあはれを理解し始めた層へ絞っているのかと思えば、唐突に中山忍という、そういった層にはおそらく全く無名な女優がぽんとでてくる。光源氏を演じるのが天海祐希なので、ヅカファン目当てなのかと思えば、ミュージカルをひとり担うのは松田聖子だったりする。また高齢者層へ訴えたいのか、登場人物たちは一様に出番が来ると、私はだれだれですと名乗ってくれる。名乗ってくれなくても嗚呼あの人だなとわかるようにしてくれる。一例を挙げるならば、紫式部は「紫式部です」と名乗ってくれるし、清少納言は「はるはあけぼの」と朗々と呟きながら登場する。誠にもって非常に丁寧である。丁寧すぎて見る気をなくしてしまう程ではあるが、それも私のようなやたら映画に能書きたれたがる層は最初からアウトオブ眼中(懐かし過ぎて涙がでますな)だからと納得してみる。それはそうして納得してもだ、超ダイジェストで展開する源氏物語パートは、いくらなんでも、日本古典入門編としてみるにはあまりにも不親切だろうし、源氏物語マニアにしてみれば、語らなさすぎの割には明石の部分だけ妙に力が入っているので奇妙に思うしかない。原色を多用したCGは日本の伝統美術である琳派を意識しすぎて彼方のアンドロメダへ到着してしまい、日本美術を背負って登場している(はず)の絵師役鶴太郎の絵画は、彼が武者小路実篤的仲良き事は美しき哉手法以外ではまったく通用しないということをわからせただけだ。(里見八犬伝に登場する絵巻物のほうがよほどそれらしく仕上がっていたことを思い出すとひたすら哀しい)もっともあまりにも力量不足な彼が、なんでそんなご大層な役で出演しなければならなかったのか、その大人の事情はわからんが。

わからんつながりでいえば配役も謎である。

森光子と吉永小百合の共演に心躍らせ胸が高鳴る層っていったいどんなヒトビトであるか愚かな私には全く見当もつかないのだが、岡田裕介をはじめとする東映映画製作者にはなにかが見えていたのだろう。私も見てみたい気が若干するが、見えたら帰ってこれない気もするのでエンリョしておきたい。90歳ぐらいになって三途の川が目の前に浮かび始めたら見るべきかもしれない。そんなことはどうでもいいのですが、吉永小百合がオノレの皺を隠すためなら心を鬼にして演技をしない女優であるということはとりあえずよくわかった。森光子の肌艶と某アイドルタレント事務所における男性タレントの供給関係について考えてしまったがこれはアレとするも、ついこの間北京原人だった人が帝として御簾の奥に鎮座しているというのは、そこは反体制的な映画を数多く作る東映のこと、余人にはうかがい知ることができない深遠な理由があるのだろうきっと。天海祐希と常盤貴子の絡みシーンはどの層へむけたものかは如実にわかるけれども、竹下景子のオナニー姿となるとその需要はきわめて極僅かであるとは思うが、この前見た「聖獣学園」でも三原葉子御大が同じような濡れ場を演じてらしたのを鑑みれば、私のようなシロウトには分からない奥深いエロースの世界があるのかもしれぬ。そのように考えれば、劇中たびたび発せられる「ひかるさまに抱かれて鳩のようなお声でなかれます」「蹴鞠の鞠じゃないのよ」「殿方の考える愛は愛撫でございます」云々といった一見珍発言におもえる台詞も、「ゆとり世代」といわれる学習指導要領が減ってしまった世代に対し「想像力の大切さ」を力強くアッピールするために熟慮された名台詞なのか。どう考えても衛生的に問題があるとしか思えない細川ふみえの海中出産シーンも、少子化対策として「出産の大切さ」「衛生管理の必要性」「病院出産の重要性」を訴えるため、また、烏帽子をかぶったままのセックスシーンやら「不倫」「福井」「紫式部と申すのか」「愛」といった時代をはるかに逸脱した言葉遣いも、おうちにかえったらwikipediaでけんさくしてね!しまじろうとのやくそくだよ!という若年層へむけたものかもしれない。そうでないかもしれないが、そうとでも解釈しないと大きいのはいいからさ、こいつがおさまりつかねえんだよ、ということである。とまれ、ケンワタナービがGo to Hollywood!!!と思ったのは、この作品でただ一人、尻を剥きだしにされたことに端を発することはマチガイない。(男優にも人権を!!)そういう意味では記念碑的作品といえるのかもしれない。コジツケ?ムリヤリ?それがなに?俺達とんこう野郎ダメチーム!

まあなんですか、以上要約いたしますと、確実にいえることは、堀川とんこうはおそらく同じ古典ということで、ギリシア悲劇の様式で源氏物語を展開させようとしたに違いないということです。しかし源氏物語をギリシア悲劇でなぜ上演?なぜミレニアムを迎えたこのときに?しかしそれは天の意思(ハルク・ホーゲン)それはともかく、古典的ギリシア悲劇の上演方式に即していると解釈すれば、状況説明を全て登場人物の台詞で済ませる、仮面をかぶって演じる古来の伝統にのっとり能面のように感情をあらわさない女優陣、コロスのように歌って踊って劇中人物の感情を代弁する松田聖子等々という疑問も氷解する。ギリシア悲劇で読み解く日本の古典を世界に問うたのだと思えば、ワールドプレミアと称して海外で公開した意味が分かろうといふもの。ただ惜しむらくはそこがハリウッドであり、ギリシアの地からは遠すぎたことである。また、日本人の中にはギリシア悲劇の古典素養がある人間も少なかったということが本映画の低評価につながっているのかもしれない。そういう意味で堀川とんこうの目論見は外したとはいえるけれども、その「実験的精神」は多いに称えられて良いのではないか?私はいつの日か彼と見えるときがきたのならば、是非この点について熱く語り合いたい。「紫式部は後世つけられた名で本名はよくわかってないんですよ?知ってましたか?」

千年の恋 ひかる源氏物語

千年の恋 ひかる源氏物語

  • 出版社/メーカー: 東映
  • 発売日: 2002/09/21
  • メディア: DVD


nice!(1)  コメント(3)  トラックバック(2) 
共通テーマ:映画

nice! 1

コメント 3

たくぼん

内容を読んだ限りでは、森光子+小百合+聖子+ヅカ+ケツというところで私の周辺をターゲットにした映画なのではと思いましたよ。上野傑作劇場で上映されているところを想像いたしました(みなさんハッテンに夢中で本編は見ず)
by たくぼん (2007-05-29 18:43) 

ひかりこ

高校で不登校の時からの
その男優ファンのあたくしが言うのもなんですが
この方結構露出多かったりして~。(^^;
斬九郎でも赤ふん姿とか結構あるよん。( ̄ー ̄*)
あと仁義なき戦いでは後姿だけどすっぽんぽんだったり~。( ̄▽ ̄*)

てか、この映画私も見たよ~。
たしかに…(A^ー^*)
by ひかりこ (2007-05-29 19:52) 

瑠璃子

>総帥
たぶん総帥的にはかなり面白い映画だと思いますよ。見どころ満載。途中で眠気に耐えきればの話ですがw

>ひかりこ氏
あ、それはあるかも!>露出
無意味なサービスショットに謙さん辟易だったのかしらん…。この映画ほど無意味に女優男優を浪費している映画もそうないだろうなと思いつつ。nice!ありがとう!!
by 瑠璃子 (2007-05-29 21:39) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 2

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。

×

この広告は1年以上新しい記事の更新がないブログに表示されております。